金融庁は、イオン銀行に対し、マネーロンダリング(資金洗浄)およびテロ資金供与対策に不備があったとして、業務改善命令を発令する方針を固めました。この命令は、銀行のリスク管理体制に重大な問題があると判断されたためで、改善命令の対象には具体的な対策の強化が含まれます。
問題の背景
イオン銀行は、犯罪行為によって得られた資金の洗浄や不正資金の流出防止のための対策を講じることが義務付けられています。しかし、今回の金融庁の調査により、リスクの特定や評価が十分に行われていない、あるいは取引モニタリングや本人確認のプロセスに不備が見つかったことが明らかになりました。
これにより、不正な資金が銀行を通じて流通するリスクが高まる可能性があるとして、金融庁は銀行の体制を抜本的に見直す必要があると判断しました。
金融庁の求める改善事項
業務改善命令により、イオン銀行は以下の事項に取り組むことが求められます:
1. リスク管理体制の見直し
リスクベース・アプローチを強化し、不正取引を早期に発見できる体制の構築。
2. 本人確認手続きの徹底
偽名や成りすましの排除に向けたプロセスの見直しと従業員教育。
3. 取引モニタリングの強化
高リスク取引の特定と監視システムの改善。
4. 内部監査機能の向上
定期的な検証を通じた防止策の効果測定。
今後の対応
イオン銀行は、金融庁の指摘を真摯に受け止め、改善計画を早急に提出する見通しです。また、内部体制の再構築に加え、従業員への研修強化を行い、金融犯罪防止に向けた取り組みを推進するとみられています。
金融業界においてマネーロンダリング対策の強化は国際的な課題となっており、日本国内でも厳格な規制が求められています。今回の改善命令は、金融機関全体の取り組みを一層促進するきっかけとなるでしょう。